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シークレット☆ミッション!  (23) [フィクション]

シークレット☆ミッション!



-エピソード・2-



23(第二十三章)



 この物語はフィクションです。登場する人物や背景の在り方などは、全てわたくし鐘井音太浪(著者)が想像した空想上のものです。
 尚、著作権等々に関しましては、今のところわたくし鐘井音太浪にあり、この件の詳細事項に関しましても従来どおりのこととします。

 では下記の、 “本編はここをクリック” をクリックして “シークレット☆ミッション! -エピソード・2- 23(第二十三章)” を、ご堪能くださいませ。

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シークレット☆ミッション!


-エピソード・2-


23(第二十三章)



 晶代がチームリーダーに報告した。 「あの男がドラッグを仕入れ売りさばいている」と!これに関する資料も添えてだ。
 ……売りさばいているシーンは、もう、何度も目にしているので、即刻、薬物取り扱い違反で逮捕するには十分なのだが、仕入れ方や、単独犯なのか、共犯者、提供者との繋がりが掴めておらず、泳がしているのだ。チームリーダーにその旨報告すると、「致し方あるまい!今後のこともある、出来る限り根本に近いところまで……願わくば核までをも刈り取りたいのが我々ドラッグバスターチームの念願だ!」
「はい!」 晶代は答える。 「……ですが、一般の人々にドラッグが行き渡ってしまうのも阻止しないと……」
「……ううん……」 チームリーダーは喉を唸らした。そして、「では、シークレット☆ミッションチームにその旨を、わたしから相談してみよう。あのチームなら何とかしてくれるはずだ!」
「シークレット☆ミッションチーム?」 このチーム名を耳にするのはお初だった安達明代。
 その表情を見てチームリーダーは、「晶子君は知らなくとも当然だな。シークレット☆ミッションチームのことを!我々ドラッグバスターチームよりも、この帰還に発足されたのは若いが、ごく少数の者にしか示していないネオトップシークレットチームなのだよ!」
 安達明代は囮捜査の仮の名で、ドラッグバスターチーム内では「晶子」と呼ばれている。このドラッグバスターチームも、シークレット☆ミッションチーム(別称、シークレット☆ミッションレディス)同様に、世間一般でそのチームすら存在しているのかを知らせていない国家警察である。
 チームは違えど、自分たちと立場は一緒か! と、晶子(安達明代)は納得した。
「まあ、出てきてしまった手前、このヤマがコンプリートしたら、教えてやろう」
 晶子は俄に微笑んでだ。それは返事代わりだ!割と晶子は、このチームに属して五年、今ではすっかりフォーカーフェイスが板にはまってしまっているのだった。
「……君の掴んできた情報と、そのシークレット☆ミッションチームが掴んでいるネタを総合するとだ……」 リーダーは晶子の話した。
 あの喫茶店にいた男は、青木麻史という、青門大学四年生で、一年浪人している二十三歳。PCマニア。青門大学は、赤門女子大学の目と鼻の先にある共学の大学だ。
 その中で晶子が掴んでいないネタは、学校関係ネタだ。そつなく近づいたものの、急に訴状を根堀はそり訊くのも、不自然な気がして、その都度徐々に訊こうと思っていたことだったのだ。
 それと……
 シークレット☆ミッションチームのナオミという捜査員が提供した情報で……青木麻史と例の錠剤をつくっている者が取引をする日時を掴んだという……通常で言う仕入れだ!
 が、チームリーダーは晶子に、この進展した情報を提供しなかった。それを知ったことにより囮捜査上不自然さを醸し出してしまうと、ばれる危険性を考えたのだ。 知らぬが仏だ!
 リーダーへの不規則な定期報告を終えた晶子は、ドラッグ売りの安達明代となり、巷に戻った。規則正しくこのビルを訪れては、何処からその譲歩が青木麻史の耳に入るや藻知れぬ……。背後でどんな奴らと連んでいるのか分からない、それに、その外見からでは判断できぬのが人というもの。優しそうでも荒れていたり、強面でもメチャクチャ優しかったり……。
 茶店で待っていた弘美は、ようやく動き出した安達明代また、尾行した。途中までは、あのアパートに戻るようだったが、バスを降りた駅で、ホームには向かわず、駅ビルの飲食店に入っていった。 「な~んだ!お昼かっ!」
 ミッション内容による何かの動きを見せるのかと弘美はわくわくしていたのだが、拍子抜け……。が、弘美もブラックホール(以前直美が名付けた、細身の割によく入る弘美の胃袋などの内蔵機能のこと)がスカスカなので、安達明代の後ろ姿が何の気成しに窺える席について、ハンバーグセットを注文した。
 安達の席にスパゲティセットが運ばれた。飲み物はアイスティだ。 弘美らが噂の晶子もコーヒーより紅茶派! 「間違いないわよ、これは」 弘美にも注文したハンバーグセットが運ばれてきた。こっちは相変わらずのコーヒー党!で、冷たい奴。店内も外の陽気と同様に暖かかったので……。

 そのころ直美と幸子は、例の錠剤を買った者らから、晶子がリーダーに渡した購入者リストを使い、回収に努めていた。
 先ずは、直美得意のPCでそのリストにある名前を元に検索し、個人情報を入手した。そのほとんどが、外田真生の通う女子大の生徒だった。直美は、外田真生に連絡を取り、あの全てが美味しい物ずくめだった、コート デ ダランで落ち合った。
「こんにちは真生ちゃん!」 ショーウィンドウに飾ってある陶器などを眺めて待っている外田真生の後ろ姿を見つけた直美は声をかけた。
「ああ、直美さん。こんにちは!」 振り向き笑顔で答えた。聞き慣れた尊敬の念さえも今は感じているその声に外田は驚きもせず……。
「ああ、こちらは、直の親友で、幸子っていうの!」 直美は幸子を紹介した。
「初めまして、真生さん!」 幸子が言った。
「あ、こちらこそ、初めまして!幸子さん……」 初対面ともあって、外田真生は若干の緊張の色を見せたが、次の幸子からの言葉で、直ぐにその色は薄れた。
「最近、直美ったら、真生さんのことを、よく口にするので、どんな子かな……って思っていたの。合ってみたかったわ!」 幸子は笑って言った。
「ええ……そうなんですか!でも、気にかけてくださっているようなので、私、嬉しいです。直美さん!」
「なんか、妹みたいに思えて……」 直美が珍しくはにかんだ。
「まあ、立ち話も何だから、直美、中に入りましょ!」 幸子が言った。
 三人は店内に入り、奥の席が空いていたのでその席を選んで座った。まあ、世間的に訊かれては不味い離しもする可能性を考えて、幸子、直美は必然的に合致した。外田真生は二人についてその席に座った。店員が来て、ケーキセットを注文し、それぞれ飲み物を注文した。そして、三人は同時に席を一旦立ち、ショーケースへ……。ケーキを選びついてきた店員に頼んだ。
「畏まりました!」
 三人は、再び席に戻った。
「私、この店のこと直美から聞いて、楽しみにしていたのよ!」 幸子が話し始めた。
「そうなんですか。うん、美味しいですよここのケーキ!それに紅茶も!ねえ、直美さん」 外田真生は微笑んで答えた。
「直美が、妹のようだ、って言ったことが分かるわあ……、真生さん可愛いわ」
 真生は照れ笑った。
「でしょ!こんな痛い毛のない女の子を食い物にしようとするなんて、直、絶対に許せない!」
「うん!分かるわ!」 幸子も同感した。
「え?何お話なんですか?」 外田真生が訊いた。
「あれよ!例のいかがわしい例の秘薬よ!」 直美が真生に向かってウィンクした。
「ああ!」お外田真生。 「でも、この前から……気になっているんですが、直美さんや幸子さんたちって……」
 直美と幸子は顔を見合わせた。「直たちはね、そういった世の中のゴミどもを退治する正義の味方なの!内緒だけれどね」 また直美はウィンク。
「ま、そんなところね!でも、詳細なことはいえないのよ!ごめんなさいね、真生さん」 幸子が言い終わる寸前に、店員が注文したケーキと飲み物を運んできた。 「……どうぞ、ごゆっくり」 と、並べ終わり一礼して店員は戻っていった。
 若干の間が開いたが、離しはそのままの内容で再開された。
「まあ、真生が知らないことが世間には色々あると思います。でも、お二人を見ていると、どう見ても悪い人たちにはとうてい思えないです。真生は直美さんたちを信じています!」
 外田真生は、直美たちの正体をそれ以上詮索しようとはしなかった。
 三人は、それぞれのケーキを食べ、紅茶ベースのレモンやミルク……ストレートを味わった。
「でね、真生ちゃん。協力して欲しいの!」 直美は黒の半透明なプラスチック製の書類手提げケースから例のリストを出して、外田真生に見せた。 「ここにある名前の人たちは、例の秘薬を購入した人たちなの!」直美が説明し始めた。真生はリストに目を通している。
「そのほとんどが、真生ちゃんの通っている女子大生でしょ!」
 真生は、表情に驚きを浮かべ、そして直美の言葉に頷いた。 「直美さん、あれって、ドラッグなんですよねえ……」 外田真生は呟くように訊いてきた。
「はっきり言うよ!その通り、ドラッグだよ!」
「直美からの情報によれば、購入した人のほとんどが、そうとは知らずに……」 と、幸子。
「どう?名前知ってる?」 と、直美。
 外田真生は頷き始め……「みんな知っています!」
「でね、さっきも言ったけれど、直たちに協力して欲しいの!」
「私たちだけでは、女子大に行って探っても、警戒されてしまいそうだし。その事実を余り公表しない方が、学生さんたちにとっても公にしない方がいいだろうしね!」 幸子が補足。
「騙されて勝ってしまった人が大半のような気がして、事情を本人に聞いてみないと事実は分かんないけれどね!」 と、直美。
「それで、私に協力を……」 と、外田真生。
「うん!どう?真生ちゃん」 直美が訊いた。
「いいですよ!私も、被害者の一人だし。許せないしね!」 外田真生は快く引き受けてくれた。
「但し、真生ちゃんはあくまでも、お友達から嫌われないようにそれとなく振る舞ってね!」 心配していることを直美は促した。
「大丈夫です、直美さん。ご心配には及びませんよ!」
「どうして?」 引っかかった幸子が訊いた。
「私、これでも結構人気者なんです!」 と、Vサイン。 「あ!あさってから文化祭があるんです!それまでは、私が……」
「待って、真生ちゃん。単独では動かないで!文化祭を利用させてもらって、私たちの目の届く範囲で行動して……」 幸子が単独をとることを止めた。
「でも……少しでも早く、薬理を回収しないと!」
「気持ちは分かるけどね、真生ちゃん。こういうことの捜査は可成り危険性も伴うんだよ!直たちは、ある程度鍛えているから、暴力的なことになっても対処できるけれど、真生ちゃんは……」 直美のそうした心配も……「ありがとうございます。でも、私、実は、合気道三段の少林寺拳法二段なんです!そんなことが結果的に人気の秘密なんですよ、私!自ら言うと照れくさいですけれど!」
 話を聞いた直美と幸子は唖然としたが、「そうだったんだ、その細身で……」 と直美が呟いた。その傍らで、直美と幸子の脳裏では、弘美のことが浮かばずにはいられなかった。 『この子ったら、もしかすると、弘美二世ぃ……?』
「分かったよ、真生ちゃん!でも、極力、気をつけてよ!」 直美が言った。
「諸刃の剣っていうこともあるわ!それに、あなたを越える強者が潜んでいないとも限らないから……」 いくらその強さを大学中に知らしめていても、公表されないこれを越える強者がいないとも限らないと考えた幸子だった。まあ、直美も同感だが、総勢五百人近くの生徒数、先生職の者を含めればもっといる。そういった学園内の隅から隅までの者を把握しきれないであろうと、二人は思っているのだ。案の定その通りで、人気者外田真生であってもその人数の半分も把握していない。当然と言えば当然だ。
 そんな二人の心配も一塩ながらに、その後も三人は、その旨の打ち合わせを話し合い。おのほかに雑談的お喋りも花を咲かせた。
 コート デ ダランを出て、三人は駅のパーキングスペースに止めてあるGTーRに向かった。
「真生ちゃん、送っているよ!」
 外田真生を後部席に座らせ、幸子の運転するGTーRで外田家へと向かった。
 三人が、GTーRに乗り込んでいるとき、すれ違いざまにある男が駅の改札口に入った。建物や木々、そして当たりの施設等々の陰にその存在に気づくことはなかった。
 電車の乗り込んである男とは、青木麻史だったのだが……。まあ、目深をすれ違ったとしても、直美にも外田真生にもその顔に気づくことはないであろう。万が一見合わせたとしても、一々一度だけの客に感心もない性格だ。気がつくことはない。分かる可能背のあるのは直美だけだ。

 昼食を取っていた安達明代は席を立ち、人気のないところでケイタイを取っていた。監視している弘美は、冷静に安達の後を目で追った。飲食店の外にいる安達明代の後ろ姿を目にしていた。ウィンドウ越しに通路でケイタイをしている。
 些か難しげな表情にもとれる安達明代は、席に戻ると食事の続きをさっさと終わらせ、店を出て行った。その様子を見る限り、蒙古の店には戻ってこないようだ。
 弘美は、デザートのアイスクリームがこないのが残念に思うが、これもミッションの途中と、断念して、シークレットフォーンを見ながら、その後の足取りを追った。レジで会計の際。「時間がなく今日のところは断念するけれど!絶対にアイス食べに来ます!」 と、店員にとっては、意味不明な言葉を残した。
 安達明代は、改札を入った。そして、ホームには向かわず、改札内に設けてあるちょっとした時間待ちが出来る喫茶店に入った。一応、壁があり仕切られている。木枠数枚の透明ガラスのドアを開け、中に入った。
 後を追い、店の側まで近づいた弘美だったが、入ることを止めた。三十人ぐらいのお客を収納できる客席数のようだが、今さっき同じ店にいた者同士が、いくら他人とはいえ、木に掛からなくもない、とその可能性を考えた弘美だった。斜向かいではあるが、店舗入り口に雑誌の陳列棚がある本屋を目にし、迷わず向かった。ファッション雑誌を一冊購入し弘美は、構内のベンチに座った。待合いをしているような振りして、雑誌を見ながら……喫茶店の様子を窺っている。
 すると、あの男、青木麻史が、ホームの階段から現れ、そこに入った。弘美の勘が……明らかに待ち合わせしたことを頷けさせる。さっきのケイタイがその知らせだったようだ!
 ……十分程度で、青木麻史は出てきた。そのまま上がってきた階段を下り、ホームへと消えた。この下には一番線から四番線までの在来線のホームしかない。
 その後分後……安達明代も出てきた。
 その後安達明代は、アパートに戻った。弘美も同じ電車でその距離を保ちその下の部屋に戻った。それ以後、この日は、安達明代は外出することはなかった。
 そして……。例によって、幸子が夜……バックアップのため弘美の部屋に来た。昼間、直美と外田真生と話し合ったことを弘美にも伝えた。
「私も……そこのケーキ食べたあ~い!」


次回につづく……


 次回は7月中旬ごろ、このblogにて公開予定です。  どうぞ、お楽しみに……   m(_ _)m


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